肝臓・胆道・膵臓疾患について

疾患・治療

I. 肝臓がん

1. 原発性肝がん(肝細胞がん)

肝細胞がんは肝臓の細胞、肝細胞から発生する“がん”で、以前はその多くがB型肝炎やC型肝炎などのウイルス性肝炎が原因でがんが発症するというものでした。しかし、最近では肝炎ウイルスを持たない方からの非B非C肝細胞がんというものが増加傾向にあります。これには脂肪肝や脂肪肝炎といった新たな原因が考えられています。肝細胞がんの治療では、“がん”そのものの根治的な治療と、その背景となる肝臓の病気の治療の両方が必要となります。

教室では、肝細胞がん治療には外科的切除を中心にラジオ波焼灼療法、マイクロ波焼灼療法、肝動脈塞栓療法を患者さんの状態や“がん”の進行度に応じて選択し行っています。“がん”が多発して完全切除が困難な場合でも、大きい“がん”は、手術で取り除き、それ以外の小さいものは肝動脈塞栓療法や化学療法を行うといった集学的治療もキャンサーボードという患者さんの治療方針を話し合う場で検討し、消化器内科、放射線科、腫瘍内科と協力して積極的に行っています。2018年に新体制となって以来、2名の肝胆膵高度技能指導医を含むチームで手術を行っています。下図は教室で外科的切除を行った患者さんの治療成績を示していますが、3年生存率は87%と他施設と比較しても遜色ない成績と考えます。また、手術後は“がん”の再発予防のみならず、背景となる肝臓の状態に応じた治療が必要であり、消化器内科と協力し治療にあたっています。

2. 転移性肝がん

肝転移あるいは転移性肝がんとも呼びますが、これらは肝臓から“がん”ができてくるのではなく、他の臓器にできた“がん”が肝臓に転移したものをさします。したがって、一般的には“がん”の末期的な状態と解釈されがちですが、元となる“がん”の種類によっては手術治療が非常に有効なものがあります。なかでも積極的な外科的切除が行われているものは大腸がんの肝転移です。
大腸がんの肝転移では、1970年台より、単発の肝転移(転移が1個だけのもの)に対して肝手術が試みられるようになり、予想以上に良好な治療効果が得られることが確認されました。その後、複数個の肝転移にも手術の適応を拡げてゆき、他の治療法では得られない良好な成績が確認されたため、現在では肝手術が大腸がん肝転移の第一選択の治療法と認識されるようになりました。最近では、診断した時には転移個数が多数、あるいは巨大すぎるという理由で手術が困難な場合でも、まず抗癌剤による治療を一定期間行った上で、転移の個数を減らしたり小さくしたりした後に、肝臓手術を行うといった治療が行われています。日本ではこのような治療をコンバージョン治療と呼んでいます。
当院ではこのような切除不能大腸がん肝転移の外科的治療に積極的に取り組んでいます。

3. 肝臓手術の工夫

1) 3D-CT画像の応用
従来の平面的なCT画像以外に、下に示すような立体的画像をCT画像から再構築して、肝臓切除の際に応用しています。これにより3次元での肝臓解剖の把握が容易となり、手術の安全性を高めることが可能です。
肝臓は“木”と同じような構造をしており、葉っぱの部分が肝臓に相当します。“木”の構造では葉っぱの中には多数の枝が分枝しているわけですが、この枝は肝臓の中では血管に相当します。この血管の枝ぶりを術前に把握したり、枝ごとに養われている肝臓の領域を異なった色で描出したりすることが3D-CTでは可能です。


2) 腹腔鏡による肝臓手術
できるだけ、体に優しい手術を目指して、一定の条件を満たしているような場合、腹腔鏡を利用した肝臓手術も行っています。

腹腔鏡下肝切除の術中所見

3) 計画的二期的切除(多段階肝切除・ALPPS手術)
肝臓手術を行う際、とくに肝臓の多くの部分を切除する必要があるような手術の場合(大量肝切除と呼びます)、残る肝臓が少なくなりすぎて、体を養っていけなくなることが重要な問題となります。残る肝臓が少なく過ぎて体を養えない状態は肝不全と呼ばれ、黄疸が出たり、腹水でおなかがパンパンになったりする末期的な状態です。
このような大量肝切除を安全に行う方法として計画的2期的切除という方法があります。肝臓は一部を切除するとただちに元のボリュームに戻ろうと再生が起こります。この再生速度は非常に速く、一部の肝硬変の肝臓を除けば、切除後1週間で元のボリュームの約7~8割、1ヶ月で8~9割に戻り、半年もすれば元のボリュームに戻るとされています。
この肝臓の再生を利用して1度で全ての病巣を切除すると、残りの肝臓が足りなくなる場合、手術を敢えて2回に分割して、2回の手術のインターバルでの肝臓の再生を期待する手術を計画的2期的肝切除(多段階肝切除)と呼びます。
この手術に際には、門脈塞栓術といった肝臓に入る血管のうち摘出予定の肝臓部分に入る血管の流れを止めるような処置も同時に施行することが殆どです。
また、最近では、新たな計画的2期的肝切除(多段階肝切除)の方法として、アルプス手術(ALPPS手術)という方法が欧米で行われつつあります。教室ではこのALPPS手術も採用しています。

当教室の考案したmodified ALPPS手術の初回手術

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4) 血管合併切除・再建を行う肝切除

肝臓の中には前述したように血管が無数に含まれています。このような血管に“がん”が食いついている場合、血管も同時に切除するといった方法が必要です。
とくに問題となるのは、肝臓の背中側に肝臓とくっつくように走向している下大静脈という血管です。下大静脈は体の下半身からの血液を心臓に送る大事な太い血管ですが、この下大静脈が肝臓の“がん”にしばしば浸潤を受けることがあります。このような場合には下の図のように下大静脈の一部を合併切除して人工血管などを利用して再建する必要があります。教室ではこのような手術も積極的に行っています。

人工血管置換術併用での肝切除術中所見

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下大静脈パッチ再建 (血管平滑筋肉腫手術)

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II. 膵癌

膵臓は胃の後ろにある長さ20cmほどの細長い艤器で、右側は十二指腸に囲まれており、左の端は脾臓に接しています。十二指腸側を頭部と呼び、脾臓側を尾部といいます。頭部と尾部との間の1/3ぐらいの大きさの部分を体部と呼びます。膵臓がつくる消化液は膵液と呼ばれ、膵麟の中を網の目のように走る膵管という細い管の中に分泌されます。細かい膵管は膵臓の中で主膵管という一本の管に集まり、肝臓から膵頭部の中へ入ってくる総胆管と合流した後、十二指腸乳頭というところへ開いています。膵臓から発生した癌のことを一般に膵がんと呼びます。膵臓にできるがんのうち90%以上は外分泌に関係した細胞、特に膵液を運ぶ膵管の細胞から発生します。これを特に膵管がんといいます。膵管がんのなかには細い膵管が袋状になった部分に発生するIPMT (膵管内乳頭粘液性腫瘍)の一部が進行したものも含まれます。

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膵がんの治療は、外科治療・化学療法(抗がん剤)・放射線療法の3つがあります。腫瘍の進行程度と全身状態を考慮して、これらの治療の中から1つ、あるいはこれらを組み合わせた治療(集学的治療)を行います。治療の内容は、がんの進行度と全身状態によって決定されます。

【膵臓がんのステージ分類】(膵癌取扱い規約 第7版)

がんが膵臓あるいはその近辺に限局してしている場合(ステージI~Ⅱ)は、外科手術を中心とした集学的治療を行います。がんの範囲は限局しているけれども切除できない場合、例えば癌が主要な血管(腹腔動脈・上腸聞膜動脈など)に浸潤している場合(ステージⅢ)は、放射線療法や化学療法などが行われます(局所進行膵癌といいます)。局所進行膵癌に対し化学療法を行い、切除可能となれば外科切除を行う場合もあります。膵がんは切除できても高率に再発を起こすことが知られており、最近ではステージI, IIの切除可能な膵がんであっても術前化学療法を行ってから手術した方が、術後の再発率を低減できるという報告があり、術前化学療法を行ったのちに手術を行う場合もあります。
肝臓や肺、膵臓から遠く離れたリンパ節に転移をしている場合を遠隔転移といいます(ステージIV)。この場合は手術の適応になりません。術前の検査で明らかな遠隔転移がないと判断された場合でも、実際の手術の際に遠隔転移が見つかることもあり、この場合は手術を中止します。腫瘍の影響で食事が摂りづらい場合や胆管の閉塞がある場合は胃空腸バイパス手術や胆管空腸吻合術を行うこともあります。ステージIVの膵癌の治療の中心は抗がん剤による治療です。手術を行う場合も化学療法を行う場合も、痛みのコントロールや栄養の管理などに重点をおいた緩和治療を行います。
手術療法はがんを含めて膵臓と周囲のリンパ節などを切除する方法です。膵がんの治療の中では最も確実な治療法となります。膵がんができた場所によって以下のような方法が選択されます。

1. 術式
1) 膵頭十二指腸切除術
膵頭部にがんがある場合には、十二指腸・胆管・胆嚢・胃の一部を含めて膵頭部を切除します。門脈という血管にがんの浸潤が疑われる場合には、門脈の一部も合併切除して再建することでがんの切除は可能です。切除後に膵臓・胆管・消化管の再建が必要となります。

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膵頭十二指腸切除術

門脈合併切除・再建を伴う膵頭十二指腸切除術

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(矢印:門脈再建部)

上腸間膜動脈左縁での膵頭十二指腸切除術

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(矢印:膵切離端)

2) 膵体尾部切除術
膵臓の頭部より尾側の体部、尾部にがんがある場合には、膵臓の体尾部と脾臓を一緒に切除します。切除後の消化管再建は必要ありません。


3) 膵全摘術
がんの進展範囲によっては、膵全摘術といって膵臓のすべてを切除する必要がある場合もあります。ただし、術後には血糖をコントロールするためにインスリンの注射が必ず必要となります。

左胃静脈温存膵全摘術

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門脈切除再建を伴う膵全摘術

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(矢印:門脈再建部)

2. 膵手術の工夫

1) 3D血管構築画像の応用

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(黄色:膵実質)

(青色:静脈)

(赤色:動脈)

手術中の出血量を減少させて、安全で確実な膵手術を遂行するために術前CT画像から、膵周囲の動脈、静脈などの血管を立体的にかつ正確に再構築した3D画像を作成し応用しています。
手術前には3D画像から温存あるいは処理すべき血管を把握し十分なシミュレーションを行い、術中はこの画像をナビゲーションとして活用しています。


2) Hanging法を応用した動脈・膵頭神経叢の先行処理  
3D画像での検討を応用し膵頭神経叢を先に離断するようにHanging法という方法を応用しています。
膵癌は膵頭神経叢を介して癌細胞は広がりやすく、しばしば膵頭神経叢を切離した部分に癌が残る場合があります。また膵頭神経叢の中には膵臓に分布する動脈があり、この血管を出来るだけ早く処理することで出血を少なくすることができます。
膵臓自体を切離する前に膵頭神経叢をテープでHangingして、この部分の処理を先に行うといった方法です。

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3) 機能温存

膵臓は食物の消化・吸収といった外分泌機能や、血糖コントロールのためのインスリン分泌といった内分泌機能など極めて多くの役割をになっており、病変をしっかりと切除する必要がある一方で、可能なかぎり温存することが大事です。このため膵臓を少しでも残しながら病変を確実に切除するような術式も取り入れています。

中央区域温存膵切除

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3. 胆管癌

胆管がんは、胆管に発生する“がん”で、その部位によって呼び名が異なります。胆管とは肝臓で作られた消化液のひとつである胆汁を十二指腸まで流す通り道のことで、肝臓と胆管の関係は、肝臓を木の葉っぱとすると枝が幹に向かって徐々に太くなるといった木の構造に似ています。つまり胆管は肝臓内の細い管に始まって、何本もの細い胆管が次第に集まって太くなり、肝臓の外に出て2本の太い管(左肝管・右肝管)になって肝門部で1本に合流し(肝門部領域胆管)、膵臓を貫いて十二指腸乳頭部に開口しています。途中で、胆汁をためておく袋がありますが、これが胆嚢です。このうち、いずれの部位にも胆管がんは発生しますが、がんが出来てきた場所によって性質や治療法が異なるために以下のように細かく分類されています。
1. 肝内胆管がん(肝臓の中の胆管に発生したがん)
2. 肝門部領域胆管がん(肝門部周囲の胆管に発生したがん)
3. 遠位胆管がん(胆嚢管が分かれて、膵臓に入っていくところに発生したがん)
4. 胆嚢がん(胆嚢に発生したがん)
5. 十二指腸乳頭部がん(十二指腸乳頭部に発生したがん)

【肝外胆道系の区分】

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1. 肝内胆管がん
肝臓の中の細い胆管の上皮から発生するがんで、一般には原発性肝がん(1.肝臓がん 1)原発性肝がん)の一つとして扱われています。原発性肝がんの90%~95%は前述の肝細胞がんですが、残りの約5%が肝内胆管がんです。近年、少しずつ発生頻度が増加しているという報告もあります。
肝内胆管がんの治療は、手術が可能であれば腫瘍を含む肝臓を切除する肝切除が第1選択です。またリンパ節にがんが転移していることもあり、合わせてリンパ節を取る手術も行います。そのために、胆管を切離して小腸とつなげたりする手術(胆管空腸吻合術)が必要となることもあります。一方、手術ができない場合は化学療法を行いますが、この領域にはまだ標準治療とされる抗がん剤治療の方法がありません。症例ごとに相談してジェムシタビン、TS-1、シスプラチンといった抗がん剤を組み合わせて治療を行っています。


2. 肝門部胆管がん
肝門部領域がんは、肝臓の入り口(肝門)の大きな胆管に発生するがんです。以前は、肝門部胆管がんと呼ばれていましたが最近、胆管の区分けの仕方が変更になり肝門部領域癌と言われるようになりました([肝門部領域胆管の目安 (胆道癌取扱い規約第6版より改変引用)]を参照)。
この部位に癌ができると、しばしば黄疸と言って体や眼球結膜(しろ目)の部分が黄色くなったり、尿がコーラのような色(褐色尿)になったりすることがあります。このように黄疸がある患者さんでは、がんによって狭くなった胆管内をうまく胆汁が流れなくなっているので、管を通して黄疸を改善させて、肝機能を正常な状態に戻してから手術を行います。この場所のがんはしばしば、肝臓の奥の方までがんが進展していることが多く、胆管だけでなく、胆管と一緒に肝臓を切除する必要があります。右側の胆管に癌があれば右側の肝臓を、左側の胆管に癌があれば左側の肝臓を切除することになります。この肝門部領域という場所は胆管のほかに、門脈・肝動脈といった大事な血管が近くを走っていてがんがこれらの血管に浸潤している場合は、それらの血管(門脈・肝動脈)も合わせて切除してがんを取り残さないようにすることが大切です。一方、肝門部領域癌に対する手術は切除する肝臓の範囲や、合併切除する血管を再建したりする必要があり、大手術になることが多く、患者さんには非常に大きな侵襲・ストレスとなります。このため、術後合併症の頻度は、通常の肝切除のみの場合と比較して高く、時には命の危険と隣り合わせとなることもあります。当科ではこのような大量肝切除や血管合併切除・再建を伴う複雑な肝切除をより安全に行うためにいくつかの工夫をしています。これについては、前述の「肝臓手術の工夫」で詳しくご紹介していますのでご参照下さい。
転移を起こしていたり、局所(癌の周り)が進行しすぎていたり、肝機能が悪くて肝切除が難しかったり、全身状態が不良で手術に耐えられない場合は、抗がん剤治療や放射線治療を行います。また手術を行ってがんを取り除いた患者さんでも、術後の顕微鏡検査の結果などを参考にして抗がん剤治療を行う場合があります。どのような抗がん剤を使うのかについては、前述のように確立した標準治療はありませんが、ジェムシタビン、TS-1、シスプラチンといった抗がん剤を組み合わせて治療を行っています。

【肝門部領域胆管の目安】

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3. 遠位胆管がん
胆のう管を分岐したあと膵臓を貫く部分の胆管に発生するがんです([肝外胆道系の区分]の図を参照)。この場所にがんが発生すると、胆汁の流れが妨げられ閉塞性黄疸となります。治療法としては、手術、抗がん剤治療、放射線治療があります。現在のところ最も治癒の可能性が見込まれるのは手術です。遠位胆管は膵臓の中を通るため、膵臓の一部(膵頭部)と十二指腸を一緒にとる必要があります。この手術を膵頭十二指腸切除術と言います(膵がん治療の中で図説していますので、こちらもご覧ください)。遠隔転移などで切除ができない場合には、ジェムシタビン、TS-1、シスプラチンといった抗がん剤を組み合わせた抗がん剤治療や放射線治療を行います。


4. 胆嚢がん
胆のうは胆管の途中にある袋状のもので一時的に胆汁を貯留しておくところです。この場所に発生してくるがんが胆のうがんです([肝外胆道系の区分]の図を参照)。胆のうがんは、その進行具合によって大きく早期胆のうがんと進行胆のうがんに分けられます。早期胆のうがんは、胆のうの粘膜や筋層にがんがとどまっている状態で、胆のう結石症の人に対して行われるような通常の胆のう摘出術で治療できます。一方、胆のうの筋層の外側の漿膜、また胆嚢がぶら下がっている肝臓にまでがんが及んでしまうと進行胆のうがんと言われ、この場合は肝臓や胆管の周りのリンパ節を同時に切除しなければなりません。肝臓の切除範囲は、胆のうがんがどこまで広がっているかによって決まりますが、肝右葉切除などの大きな肝切除が必要となることもあります。また胆管とつながっている胆のう管から遠位胆管の方へ広がっていると、前述の膵頭十二指腸切除を行うこともあります。このように胆のうがんはがんの広がりによって胆のうを取るだけではなく肝切除や膵頭十二指腸切除などの手術を一緒に行うことがあります。胆のうがんもこれまでの胆管がんと同様に遠隔転移などで切除ができない場合には、抗がん剤治療(ジェムシタビン、TS-1、シスプラチン)や放射線治療を行います。


5. 十二指腸乳頭部がん
十二指腸乳頭部は胆管の終着点ですが、この場所で膵液の通り道である主膵管と合流して乳頭部を形成しています([肝外胆道系の区分]の図を参照)。この十二指腸乳頭部に発生してくるがんが乳頭部がんです。十二指腸乳頭部がんも手術が最も治癒の可能性のある治療法であり、遠位胆管がんと同様に膵頭十二指腸切除術を行います(手術術式の図については膵がんの項をご参照下さい)。乳頭部がんは小さな病変でも、胆管の出口をふさいでしまうので比較的早期に黄疸などの症状が出るため多くの場合で手術による切除が可能ですが、遠隔転移などで切除ができない場合には、抗がん剤治療(ジェムシタビン、TS-1、シスプラチン)や放射線治療を行います。